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Hearty Medical Care

呼吸器外科

肺がん

「がん」とは

人のからだは、「細胞」という小さな単位が60兆個も集まってできており、一定のルールに基づいて分裂・増殖を繰り返して新しくなっていきます。細胞分裂のルールを決める遺伝子に、様々な発がん性物質や紫外線などの何らかの原因によって傷がつくと、細胞の異常増殖が始まって「がん」になると言われています。がんは無制限に「増殖」し、周囲臓器に「浸潤」し、遠隔臓器に「転移」する特徴があります。
肺にできたがんを「肺がん」といいます。

症状がでる前に発見しましょう。

肺がんの症状は、咳、血痰、息切れ、胸痛など、一般的な呼吸器疾患に見られる症状が多く、他臓器への転移があれば頭痛や麻痺(脳転移)、痛み(骨転移)などの症状が出現します。早期の肺がんでは症状が出ないことが多く、症状があるときにはすでに進行肺がんの可能性があります。
健診のレントゲンや胸部CTで、症状が出る前に発見する必要があります。

検査の種類

画像検査で肺がんが疑われた場合、組織や細胞を採取し、診断を確定します。

気管支鏡検査

口から細いカメラを気道に挿入し、CT上、陰影のある場所から組織を採取します。
喉の奥に局所麻酔を行い、検査を行います。
15分程度で終了します。
合併症には気胸や出血、発熱などがあります。

CTガイド下肺生検

CTで位置を確認しながら、局所麻酔で腫瘍に針を刺し、組織を採取します。 20-30分程度で終了します。 合併症は気胸や出血、空気塞栓などがあります。

胸腔鏡検査

局所麻酔で胸腔内(肺が入っている胸のスペース)にカメラを挿入し、病変を見つけて、組織を採取します。 20-30分程度で終了します。 合併症として気胸や出血があります。

4つの「組織」に分けられる肺がん

肺がんは、発生する部位(組織)によって、主に腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんに分類されます。
腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんをまとめて非小細胞肺がんといいます。

さらに「ステージ」分類

肺がんの進行具合により7つのステージに分類します。

「組織」と「ステージ」の組み合わせによって 治療法は異なります。

肺がんの「完治」のためには、手術が最も有効な治療法です。
3B期や4期でも、場合によっては手術を行うこともあります。
詳しくは外来で説明させていただきます。

肺がんの手術は大変?

肺がんの手術は「肺葉切除+リンパ節郭清」が標準術式です。例えば右肺下葉に肺がんがある場合、右肺下葉と転移の可能性がある周囲のリンパ節を切除します。肺がんの広がりや患者さんの全身状態によっては、さらに大きく切除したり、小さく切除したりすることもあります。

手術は全身麻酔で行います。
肺がんの手術は一般的に、皮膚を15cm~20cmと大きく切開し、肋骨の間を器械で開いて行うもの(標準開胸)が主流でした。しかし最近は4-6cmの傷1か所と1-2cmの傷2か所で、カメラを挿入しテレビモニターで胸腔内を観察しながら行う胸腔鏡下手術が多く行われるようになってきました。

当院でも胸腔鏡下手術を導入しています。傷の痛みが最小限で体への負担も少ないため、手術翌日から歩行や食事も可能で、術後1週間以内での退院も可能です。
ひとつの肺葉を切除した場合、肺活量が手術前の8割程度まで減少しますが、半年たつと、9割程度まで回復します。

抗がん剤治療とは

抗がん剤治療は、飲み薬や注射で投与された抗がん剤が血液の中に入り、血流にのって全身を巡り、全身に拡がったがん細胞に効果を発揮する全身治療です。残念ながら現時点では抗がん剤治療だけでは肺がんを治癒させることはできません。しかし肺がんを縮小させる、進行を遅らせる、肺がんによって起こる症状を和らげるなどの効果や、延命効果が期待されます。
抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞に対しても作用します。抗がん剤の投与量を増やすとがん細胞に対する効果は増強しますが、正常細胞への有害な反応(副作用)も強くなります。副作用としては血球減少(白血球、血小板、赤血球)、消化器症状(食欲不振、嘔気、便秘、下痢)、臓器障害、アレルギー等多岐にわたります。そのため抗がん剤の投与量や投与スケジュールは、厳密に検討された上で決定されます。
抗がん剤の投与スケジュールは使用する薬の種類によって変わってきます。飲み薬の抗がん剤以外では、毎日投与することはなく、1-3日抗がん剤を点滴した後、休薬期間が設けられます。この投薬期間と休薬期間を含めて1クールと呼びます。肺がんでは3-4週間を1クールとして、4クール投与するパターンが一般的です。
また最近ではがん細胞の遺伝子異常を調べて、そのがん細胞に効率よく作用する「分子標的薬」が増えてきました。副作用として、5%程度の患者さんに重篤な肺障害を引き起こすことが報告されていますが、一般的な抗がん剤と比較し、副作用は軽度で、劇的な効果が期待できます。

放射線治療とは

放射線の細胞損傷作用を利用して、がん細胞を死滅させるがんの治療法です。周囲の正常組織も損傷しますが、可能な限りがんに線量を集中させるので全身的な副作用が比較的少ない治療法です。脳や骨など転移巣への局所治療としても有効です。

再発することも

手術や放射線治療で一度消失したがんが、後にまた出現してくることや、他の部位に新しく転移巣が出現した場合をがんの再発といいます。がんの再発部位としては肺や肺周囲のリンパ節、脳、骨、肝臓、副腎などです。再発部位によって症状は様々です。再発後は抗がん剤治療を行いますが、再発部位とその個数によっては放射線治療や手術治療も可能です。
また手術や放射線治療後5年間は再発がないか、定期的に検査を受けていただくことになります。

早期発見のために

肺がんは早期発見により高い確率で完治が期待できます。
逆に進行してから発見された場合、完治は極めて困難です。
以上より、早期発見の方法を知っておく必要があります。

肺がんの発見動機と発見時の病期

病期 自覚症状を契機に発見 集団検診(レントゲン)で発見
Ⅰ期 11% 57%
Ⅱ期 6.5% 8%
Ⅲ期 35% 22%
Ⅳ期 44% 10%
不明 3.5% 3%

検診で毎年胸部レントゲンを受けている方は、Ⅰ期で発見される可能性が高くなっています。しかし胸部レントゲンは解像度が十分でなく、見落としが多いのも事実です。胸部CTはレントゲンと比較し、解像度が圧倒的に高く、肺がんを発見できる確率は数倍に増加します。 またCTで発見された肺がんのうちⅠ期である確率は70-80%に上ります。

以上より、早期発見のためには

  1. 毎年検診レントゲンを受ける
  2. 肺がんの発生リスク(55歳以上、喫煙歴がある)のある方は、積極的にCT検診を受ける

ことが大切です。
当院でもCT検診を受けることが可能です。
64列MDCTPETCTといったがんの発見に優れた最新のCTを受けることも可能です。

草津総合病院での肺がん診療

「チーム医療」を実践しています。肺がんという同じ病気でも、その「症状の出方」や「必要な治療」にはかなりの個人差があります。実際に治療を行っていく際には、「病気に対するご理解」、「がん治療に対する不安」、「現在の社会的状況」など患者さん側の視点も包括的に考慮する必要があります。そのため医師、外来看護師、病棟看護師等が患者さんの訴えに耳を傾け、定期的に話し合い、個人個人に合ったサポートを行っております。
当院には、がんに関する専門的な知識と経験を持った「がん看護専門看護師」も常在しており、病気に関することはもちろん、精神面や社会的側面からもサポートできる体制となっております。がん患者さんの「いろいろ話が聞きたいけれど、直接先生に聞くにはなんとなく気が引ける」、「誰に相談していいのかわからない」といった訴えにも適宜対応させていただきます。
「胸に影がある」と言われたら、ぜひ私たちの外来を受診してください。
病状や体力にあった最善の治療方法を、わかりやすくご説明させていただきます。

滋賀医大との新しい連携体制

草津総合病院の呼吸器外科では滋賀医科大学附属病院の呼吸器外科と密に連携しています。定期的にカンファレンスを行い、患者さん一人ひとりの体力や病状に合った最善の治療法を追及した上で、実際の治療を開始しております。また草津総合病院での手術時の人的サポートや、難易度の高い手術では大学病院で受け入れを行ってもらうことで、受診したすべての患者さんに、適切で高い水準の治療を受けられる体制となっております。