医療法人誠光会 草津総合病院
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2013年4月からこのセンターの規模をさらに拡大し、癌局所療法・腹膜播種センターと改名し、腹膜播種のみならず、肝転移・大動脈周囲リンパ節転移に対する包括的治療を行なうセンターを目指して再出発します。初期研修を終了し、癌の局所治療+局所化学療法に興味のある外科医・内科医・婦人科医を対象と、年齢は問いません。熱意ある外科医を募集しています。
  朝日放送『たけしの健康エンターテイメント!みんなの家庭の医学』から取材を受けました。 
  (2011年9月6日(火)午後7時〜9時48分放送)
※これについてのお問い合わせなどは『お問い合わせ/外来のご予約』からご連絡ください。
  携帯電話へは大変かかりにくくなっておりますのでe-mailへご連絡ください。
   
テレビ朝日『スーパーモーニング』から取材を受けました。
(2009年7月30日(水)AM8:00〜9:55放送『スーパーモーニング』テレビ朝日)
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腹膜偽粘液腫
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腹膜偽粘液腫
腹膜偽粘液腫の発生原因
腹膜切除方法
診断方法
腹膜播種の定量化
化学療法について
文献
腹膜偽粘液腫
 100万人に一人の割合で発生するきわめて稀な疾患です。しかし、本邦における発生頻度はまったく解明されていません。発生原因を探る基礎的研究もほとんど行われていないのが現状です。また、この疾患を多数経験している臨床医が少なく、標準的治療も確立されていません。
 当院では2007年11月から、腹膜播種を専門に扱うようになりました。私自身過去4年間の期間にこの腹膜偽粘液腫の患者さまを250例以上経験しましたが、一人ひとり異なったさまざまな病態を示す病気であることがわかりました。この病気を扱う医師はこの多様な病態・転移様式を常に頭に入れておかなければならないことを実感しています。この病気はお腹の外への転移(肺、骨、脳)や肝臓、リンパ節転移をまったくおこしません。従って、お腹の腫瘍を完全に切除すれば長期生存できます。しかし、完全に切除する技術(腹膜切除)をマスターしている外科医は日本でも非常に少ないのが現状です。
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腹膜偽粘液腫の発生原因
 虫垂や卵巣の粘液産生腫瘍が、内腔に粘液をどんどん貯めていきます。次第に内圧が上がり、ついには虫垂や卵巣の壁を突き破り、粘液と腫瘍細胞がお腹の中にこぼれ落ちます。こぼれた腫瘍細胞は腹膜に開いている小さなリンパの穴に取り込まれ、その中で増殖するようになります。
 このリンパは、穴のある腹膜と穴のない腹膜があり、転移しやすいのはリンパに穴のある腹膜です。転移しやすい腹膜は横隔膜の下面・胃の周辺の大網・卵巣・骨盤腹膜・肝臓と膵臓の表面です。手術に際しこれらの腹膜を切除します。
転移巣の腫瘍細胞は浸潤しないため、お腹の中の臓器はできる限り温存し、腹膜の転移と侵された腹膜のみを切除します。 
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腹膜切除方法
 腹膜偽粘液腫は全身化学療法がほとんど無効と考えられています。その原因は血流が乏しく、投与した抗がん剤が分布しにくい、増殖が遅く薬剤が効きにくいことにあります。また細胞成分が少なく、細胞が死滅しても粘液が遺残し、無効と判定されている可能性もあります。従って、治療は外科的に可及的切除することがもっとも有効な治療法となります。柔らかい粘液や腹水で構成される部分と、硬い粘液で構成される固形粘液部分があります。腹水には粘液を周囲にもつ遊離がん細胞が認められるので、手術中は復水を吸引し、腹膜や剥離面、こびりついている粘液を洗い落とす必要があります。
 腹膜切除は偽粘液腫に侵されている腹膜を完全に切除する唯一の手術方法です。
 肉眼的に完全切除できても腹膜に付着した目の見えない細胞が再発の原因になります。これを予防するため
切除後腹腔内温熱化学療法(CHPP)と言われています。
*CHPP施行術 *巨大な腹膜偽粘液腫症例
CHPP施行術/巨大な腹膜偽粘液腫症例
図-1)粘液産生腫瘍 原発巣 図-2)虫垂の穿孔部位と腹腔内にこぼれた粘液
図-1)粘液産生腫瘍 原発巣 図-2)虫垂の穿孔部位と腹腔内にこぼれた粘液
図-3)腹腔内にこぼれた粘液産生腫瘍 図-4)偽粘液腫腹膜播種のメカニズム
図-3)腹腔内にこぼれた粘液産生腫瘍 図-4)偽粘液腫腹膜播種のメカニズム
表-1)腹膜には転移しやすい腹膜と、転移しにくい腹膜がある癌の種類により異なる
表-1)腹膜には転移しやすい腹膜と、転移しにくい腹膜がある癌の種類により異なる
 図-5ABのように腹膜を19箇所に分類し、多数の症例でどの腹膜が転移を起こすのか調べました。その結果、偽粘液腫が転移しやすい腹膜があることがわかっています。切除する腹膜は症例により異なりますが、転移しやすい腹膜を重点的に調べ、転移があれば切除します。
 横隔膜下面腹膜切除【ゾーン3,4】、骨盤腹膜切除【ゾーン9,19】は図6、7のように行います。直腸が高度に侵されていた場合は直腸を合併切除し、直腸・結腸吻合を機械吻合で行い人工肛門をしないようにします。しかし、縫合が破れるのを防止するため回腸に人工肛門をすることがあります。肝臓被膜は特に高い頻度で転移が認められます。この転移を完全切除するには私どもが開発した肝臓被膜のみの切除方法があります。図-8のように肝臓の被膜を肝実質から剥離するようにすれば完全に切除できますが、これをグリソン被膜切除と名づけています。この方法の開発により、肝臓をまったく切除することなく、転移のみを切除できるようになりました。脾臓の被膜も同様に転移しやすいので必要があれば脾臓も切除することもあります。粘液が腸間膜に薄くこびりついているようなときは電気メスで蒸散させることが可能です。
 一番難しい部位はゾーン2です。この部位は重要な血管が多数あるので、海外では積極的に切除する施設はありません。私どもはこの部位を切除する方法を最近編みだしました。血管の場所を3次元CTで調べておき、手術中に血管をすべて遊離します。その後、胃をすべて温存し腫瘍を完全に切除します。この手術方法は私どもでしか行えません。
 肉眼的な完全切除できても、膜に付着した目に見えない細胞が再発の原因になります。
 これを予防するため、術中(切除後)に行う
腹腔内温熱化学療法(CHPP)を行っています。
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診断方法
 重要なことは腹膜偽粘液腫には良性、中間悪性と悪性例の3種類があり、治療後の予後が異なることです。腹水の細胞だけで良性・悪性の診断は困難です。こういう場合は以前の手術標本(パラフィン ブロック)を前医から借用すると、診断が可能です。良性、中間悪性か悪性かの診断は、治療法に直接かかわるので是非とも標本を借用してください。
 さらに重要なことは転移場所の診断です。腹水があるときは細胞を調べれば診断がつくことがありますが、粘液が主体の腹水では診断ができないことがあります。しかし、大量の粘液が確認できれば診断は困難ではありません。
 PET、CT、MRIを行うことが重要です(図-9、10)。腹水は黒く写り、硬い粘液は白く写ります。肝臓表面、胃周辺【ゾーン1、2】の転移(図-10)診断しておくことが重要です。MRIで手術前に転移の分布がある程度診断できます。
 腫瘍マーカーではCEA、CA19-9、CA125を測定すると転移の量と完全切除できるか否かを知ることができます。CEAが正常な例は全例完全に切除できましたが、5-30ng/mlでは18例中10例が完全切除できました。しかし30ng/ml以上では26例中2例しか完全切除ができませんでした。
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腹膜播種の定量化
 腹膜播種を定量化するために図-11に示すような腹膜播種スコア Peritoneal Carcinomatosis Index(PCI) を提唱しています(図-5A、B)。腹腔を13箇所に分類し、各々の部分の播種の程度を4段階に分けるものです。13箇所のスコアを総計したものをPCIとして表現します。この方法では最小スコア 0 、最大スコア 39 で現すことができます。従来用いられているスコアでは広い腹膜の転移状況を詳細に表現できませんでしたが、PCIを用いれば腹膜切除の適応を決めるのに有用であるばかりでなく、腹膜切除後の遺残腫瘍をあらわすにも有効です。
図-5A)腹膜の分類 図-5B)腹膜の分類
図-5A)腹膜の分類 図-5B)腹膜の分類
図-6)左横隔膜腹膜【ゾーン3】切除 図-7)骨盤腹膜【ゾーン9】切除
図-6)左横隔膜腹膜【ゾーン3】切除 図-7)骨盤腹膜【ゾーン9】切除
図-8)肝被膜【ゾーン15】切除 図-9)偽粘液腫の画像診断
図-8)肝被膜【ゾーン15】切除 図-9)偽粘液腫の画像診断
 完全切除の目安にPCIが有用であると考えられています(図-10)。PCI 20 以下では完全切除できる可能性が高く、PCI 28 以下の例では有意に予後が良好です。手術前にMRIによるPCIを入念に計算し完全切除できるように腹膜切除するか否かの判断をすることが重要です。
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化学療法について
 固形腫瘍の完全切除後に腹腔内温熱化学療法(CHPP)を行うことが長期生存に不可欠です。これは完全切除後に残った目に見えない微小転移を治療するためです。
 しかし、大きな転移が残った場合は、再手術などで乗り切るしか方法はありません。最近、TS-1、タキソテール、カルボプラチン、タキソールなどが有効であった例を少数例ながら経験しています。
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文献
1)Moran BJ.Surg Oncol Clin North Amer.12;585-603.2002.  2)Sugarbaker PH.Sem Surg Oncol.21:233-248.2003  3)Glehen O,J Clin Oncol.15:3284-3292.2004.  4)Yonemura Y,Brit J Surg,92:370-375.2005.  5)Jaquet PJ,\ Peritoneal carcinomatosis:Principles of management.Sugarbaker PH ed.1996,Kluwer Academaic Publisher.Boston.pp359-374.  6)Sugarbaker PH,Adv Surg.30:233-280,1997.   7)Yonemura Y.Peritoneal Dissemination.Yonemura Yed.,1998,Maeda Shoten,Kanazawa,pp1-46.  8)Murphy EMA,Brit J Surg.93:783-792.2006.  9)Shere DM,Gyn.Obst Invest.51:73-80,2001.  10)Sebagg G,EJSO.27:233-223,2001.  11)Ronnett BM,Cancer.92:85-91,2001.  12)Sugarbaker PH,EJSO.27:223-224,2001.  13)Bradley BM,Cancer.92:85-91,2001.  14)米村豊 ほか 癌と化学療法 33:1822-1826,2006.  15)米村豊:Peritonectomyによる腹膜偽粘液腫の治療成績.癌と化学療法.33,1822-1826,2006 
図-10)3次元CTで血管の走行を調べる。CTでは腫瘍の分布を知ることが困難なことがある。
MRIでは粘液が白く写るので、胃周辺の転移の状況を術前に詳細に知ることができる。
図-10)3次元CTで血管の走行を調べる。CTでは腫瘍の分布を知ることが困難なことがある。MRIでは粘液が白く写るので、胃周辺の転移の状況を術前に詳細に知ることができる。
図-11)腹膜転移スコア 図-12)完全切除された例の予後は良好である
図-11)腹膜転移スコア 図-12)完全切除された例の予後は良好である
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治療成績

 過去81例の腹膜偽粘液腫を治療し、55例に手術が行われています。55例のうち、20例で転移の完全切除ができました。良性では完全切除率71%で、中間悪性では41%、悪性は23%が完全切除できています。
 また、腹膜切除導入前では17例中2例(12%)しか完全切除ができませんでしたが、導入後28例中18例(64%)が完全切除ができました。
 PCIスコアの高い腹膜は大網・横隔膜下面・骨盤・大腸であり、低い腹膜は小腸間
膜でした。完全切除できた例のPCIは1-20(1,4,5,8,18,20)、平均9.2で、不完全切除例では15-39、平均27.9でした。スコア20以下で不完全切除に終わった原因は、小網内の高度な播種や横隔膜転移が原因でした。
 図-12に播種の遺残と予後の関係を示します。完全切除の予後は良好ですが、28以上では生存率は低い傾向でした。
 またPCI 28 以下では生存率は良好ですが、28以上では生存率は低い傾向でした。
 以前に行われた手術の程度を表すPSS分類では、PSS 0-22まで、すなわち大網切除+結腸右班切除までの手術が行われた例の予後はPSS 3より有意に良好と言われています(図-10)。PSS スコアが高いほど癒着や再切除困難な例が多いことは明らかで、このスコアは予後因子になると思われます。従って、開腹で診断されたときは速やかに閉腹し、専門施設に紹介することが大切です。
 完全切除できない例では定期的に腹水のドレナージ・洗浄を行うことで症状の緩和が可能です。 
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スタッフ
職名 氏名 専門医・指導医ほか
顧問 米村 豊 (専門医・指導医)
(特非)腹膜播種治療支援機構 理事長
日本消化器病学会認定医
日本消化器外科学会認定医・指導医
日本外科学会認定医・指導医
(著書)
胃がんのすべてがわかる本(学習研究社)
腹膜播種(ヘルス出版)
(メディア出演)
たけしの本当は怖い家庭の医学(朝日放送07.10.02放送分)
<私なら治せる!絶望の淵から患者を救う名医スペシャル>
米村先生の術式が紹介されました。
センター長 水本 明良 日本外科学会認定医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
近畿外科学会評議員
麻酔部長 森河内 豊 日本麻酔科学会専門医・指導医
日本救急医学会専門医
非常勤 勝谷 禎介 (特非)腹膜播種治療支援機構 副理事長兼事務局長
(主たる業務)
コンサルテーション(腹膜播種専門外来予約管理、手術予定管理)
(Web Site管理)
スキルスがん情報サイト『Gastric Cancer Support Site』
特定非営利活動法人 腹膜播種治療支援機構 web site
(広報業務)
マスコミ対応、講演企画、各種情報提供、冊子校正その他

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お問い合わせ・外来のご予約
お問い合わせ・初診外来のご予約は
  腹膜播種センター予約受付(月〜金曜日:午前10:00〜午後6時※祝日除く)  担当:勝谷禎介(かつたに ていすけ)

  携帯:090-7552-8221090-7552-8221  ※2015年3月27日より番号が変更になっています 
 e-mail:t-katsutani@room.ocn.ne.jp ※恐れ入りますが、メールでのお問合せが殺到しているため、しばらくの間ご遠慮ください。
※外来予約受付の時間は必ずお守りください。
※紹介状が必要です。
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リンク
特定非営利活動法人 腹膜播種治療支援機構 http://www.npo-pdt.org/
  http://www.hukumaku.org/  
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