頭頸部外科・甲状腺外科センター

  

頭頸部外科・甲状腺外科センターの特徴

 頭頸部・甲状腺の疾患を中心に、専門性の高い歯科・口腔外科や形成外科などと協力しながら、頭蓋底から縦隔にいたる領域の、眼科を除く疾患全般に対応しています。

診療内容では、頭頸部領域の外科的治療が必要な疾患を中心に診療を行っていますが、急性炎症を含めた一般耳鼻咽喉科疾患にも対応しています。

セカンドオピニオンにも対応しています。治療歴のあるかたは前医からの紹介状をお願いします。

 

頭頸部外科とは
『頭頸部(とうけいぶ)』とは、首から上の構造物の総称です。
『頭』には、脳や顔面、目や鼻、口やのど(咽頭)などがあり、『頸』には喉頭や気管、食道などがあります。 頭頸部のなかで、脳は脳神経外科が、眼球は眼科が、そして歯は歯科が専門科として担当しているので、頭頸部外科は、頭頸部の脳や眼球を除く部分の、主に腫瘍性疾患や外傷などの外科的な治療を担当している科です。

 


耳鼻咽喉科・頭頸部外科の外科治療


  頭頸部がん

 我々が扱っている頭頸部がんは、全てのがんに占める割合は5%程度と頻度は低いですが、口唇・口腔がん(その中で舌がんが最も多い)、咽頭がん、喉頭がん、鼻・副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がん、頸部食道がんなど、多くの部位に様々な種類のがんができることが特徴です。
がんのできる部位や大きさ、その広がり、がんの種類によって治療法が異なります。 また、頭頸部には、聴覚、嗅覚、味覚、知覚などの五感や、咀嚼・嚥下・発声・構音・呼吸など、生活に直結し、人間らしく生きていくうえで非常に重要な機能が集中しています。 このためがんの治療は、まずは治癒すること、さらに機能をできる限りの残せるように、がんの状態や患者さんの社会的な背景など考慮したうえで、最も適切な治療を選択する必要があります。
例えば舌がんで、舌を大きく切除した場合には、うまく飲み込めない、うまく言葉が話せないといった障害が起こります。また、喉がんで喉頭の摘出手術を行った場合には、声がでないといった障害がおこり、著しく術後の生活の質を低下させてしまう恐れがあります。
こうした手術による摘出部分の欠損に対して、我々は1970年代の半ばから、微小血管吻合を用いた遊離自家組織移植による舌・口腔・下顎・食道・喉頭の再建、あるいは音声を良好に保つための反回神経の再建など、各種機能の再建のための術式を開発し、臨床応用してきました。 手術後の管理や、その後必要となる機能の再獲得のためのリハビリも、経験のある看護師や言語療法士(リハビリテーション技師)と協力しながら、根拠に基づいた治療を行い、早期に機能の再獲得が出来るように心がけています。 また、放射線療法が最も適切な治療である場合、放射線治療医と連携し、治療の範囲や抗がん剤の組み合わせ、また副作用の軽減に取り組んでいます。
当科における頭頸部がん治療の特徴は、満足な日常生活を送る上で必要な機能の温存や再建を積極的に行ない、良好な治療成績をあげてきたことにあります。

 

  甲状腺腫瘍(甲状腺がん)

 甲状腺は首の前、のどぼとけの少し下にある臓器で、甲状腺ホルモンという全身の代謝を高める、体に不可欠なホルモンを作っています。 このように甲状腺はホルモンを作る臓器であるため、ホルモンが出すぎる、または不足するといったホルモンの分泌に関係する病気があります。
それとは別に、甲状腺は非常に腫瘍ができやすい臓器でもあります。多くは良性の腫瘍ですが、がんも多く、中年の女性では、250人に1人の割合でがんを持っているといわれています。そして甲状腺がんの大部分は、進行が非常に遅いことが特徴です。 甲状腺がんの治療には、手術の後に体の内部より(薬を飲むことによって)放射線治療をするヨード治療がありますが、治療の中心は手術です。
手術が必要な甲状腺の腫瘍は、がんや濾胞腺腫(読み:ろほうせんしゅ)という良性の腫瘍があります。濾胞腺腫は、悪性の濾胞がんと区別することが非常に困難なため、腫瘍の大きいものや大きくなるスピードの速いものは手術の適応となります。逆にがんであっても、非常に小さいもので、ほとんど進行しないものもあり、このようなおとなしいがんは、手術せずに経過を観察しているものもあります。甲状腺の腫瘍で手術が必要かを見極めるためには、正確な診断技術と経験の蓄積が必要となります。
また、進行の遅い甲状腺がんの中にも、周囲にある気管や食道、神経などに食い込んでいくたちの悪いものがあります。(隣接臓器浸潤と言います。)隣接臓器浸潤を認めるがんは、頭頸部がんと同様に、著しく術後の生活の質を低下させてしまう恐れがあります。このような隣接臓器浸潤に対しても、我々は頭頸部がんの手術の手技を応用し、出来る限り機能を残す治療を行っています。

 

  嚥下機能障害

 脳血管障害の後遺症から引き起こされる飲みこみの障害(嚥下障害)に対しても、頭頸部がんや甲状腺がんの治療で培った機能温存の術式を応用し、積極的に治療にあたっています。
食事をしたいのに、むせて食べられないといった方に対して、輪状咽頭筋切断術や喉頭吊り上げ術といった飲みこみをよくする手術(嚥下改善手術)を行っています。さらに誤嚥の高度な場合には声門閉鎖術や喉頭気管分離手術といった誤嚥防止手術も行っています。

 

耳鼻咽喉科炎症性疾患
 慢性中耳炎、鼓膜穿孔、慢性副鼻腔炎、慢性扁桃炎、声帯ポリープ、ポリープ様声帯

 耳鼻咽喉科領域の炎症性疾患の多くは、抗生剤や消炎剤の内服、鼻や耳処置にて軽快するものが多いのですが、炎症が広範に波及した場合には手術が必要となるものがあります。
例えば、耳だれが持続する、鼓膜の穴がふさがらない慢性中耳炎や鼻内にポリープが充満しているような慢性副鼻腔炎(ちくのう)、また咽頭痛や発熱を年に何度も繰り返している習慣性扁桃炎や、慢性扁桃炎が原因で起こる腎炎や手掌・足底の水疱ができる掌蹠膿疱症(読み:しょうせきのうほうしょう)、声のかすれが持続する声帯ポリープやポリープ様声帯などです。
これらの病気は、炎症が長期に及ぶと内服治療を続けても、症状の改善は見込めないものが多くやはり外科的治療が必要となります。このような疾患に対して、内視鏡検査や画像検査、内服治療に対する反応をみながら手術が必要なのか否かを判断して治療にあたっています。

 

  その他の疾患

 睡眠時無呼吸症候群、顔面・顎外傷、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症

 最近テレビなどでもよく取り扱われている睡眠時無呼吸症候群は、肥満や扁桃肥大などが原因で夜間に無呼吸を起こし、昼間の眠気を引き起こすものです。高血圧や糖尿病の原因となるのみでなく、時には不整脈や突然死の原因にもなるとされています。検査はアプノモニターという検査機器を装着して、どの程度の無呼吸があるかを判定します。多くはCPAPといった睡眠中にのどを膨らませる簡単な呼吸器をつけて睡眠していただくことで対処できますが、扁桃腺が大きいなど鼻や咽頭の形態異常によって無呼吸を起こすような例では、鼻の手術や口蓋扁桃の摘出とその周囲の形成手術が必要となります。
顔面・顎外傷の多くは交通事故などで外的な力が加わったときに起こりますが、その力が強い場合は骨折を伴います。顔面骨折の多くは鼻骨、頬骨・上顎骨、下顎骨ですが、頬骨・上顎骨骨折の整復では顔面に切開を入れる必要があります。また下顎骨折では、歯の噛み合わせが問題となります。頬骨・上顎骨の整復は、形成外科と共にできるだけ傷が目立たない手術を行っています。
バセドウ病は、甲状腺機能の亢進する自己免疫疾患です。多くは抗甲状腺剤の内服でコントロールされますが、内服でコントロールの不良な場合、挙児を希望される場合などは手術の適応となります。手術では、甲状腺組織の大半を切除し少量のみ残す亜全摘術を行っています。
副甲状腺機能亢進症とは、甲状腺の裏面に通常4個の米粒くらいの副甲状腺という、血液中のカルシウムを調節する臓器があり、これが腫瘍性に、もしくは全ての腺が大きくなって(過形成)結果的にホルモンを多く分泌する疾患です。以前は結石や病的骨折などの症状から判明することが多かったですが、最近では血液検査でカルシウム値が高いことで、自覚症状がなく発見されるものが大半となりました。また透析を長年受けられている方は、過形成となっていることが多いです。治療は腫瘍の摘出や、過形成の場合は副甲状腺の大部分を摘出する亜全摘術を行っています。 手術を要さない疾患 めまい、突発性難聴、顔面神経麻痺 突発性難聴に対しては、ステロイドパルス療法と高気圧酸素療法を行っています。

 

  手術を要さない疾患
  めまい、突発性難聴、顔面神経麻痺

 突発性難聴に対しては、ステロイドパルス療法と高気圧酸素療法を行っています。

 

症例数・治療内容ならびに成績

 

 舌・口腔、鼻・副鼻腔、咽頭、喉頭、頸部食道がんは、がんの広がりに応じて、手術や放射線、抗がん剤を組み合わせ、最適な治療を選択することが大切です。 
 例えば、飲みこみや話すなどの機能に大きく関係し、進行がんで発見されやすい下咽頭がんに対しても、機能を出来る限り残すために、抗がん剤治療を含む手術を軸として、進行がんでも約7割の方で機能を残すことができました。また同時に5年累積生存率も約50%と良好な結果を得ています。 
 甲状腺がんでは、気管、喉頭、食道、反回神経、頸動脈など日常生活を送るのに不可欠な機能を持つ臓器への浸潤(隣接臓器浸潤)をもたない方の治療成績は 10年間経過を追って、95%以上と、その殆どの方が治癒されています。また隣接臓器浸潤をもつたちの悪い甲状腺がんも、積極的に機能を残す手術を行いながら、10年間の経過で85%と良好な結果を残しています。

 

手術件数

手術名 2012年度
(平成24)
2013年度
(平成25)
2014年度
(平成26)
口腔がん
23件
11件
22件
咽頭がん
9件
13件
8件
喉頭がん
10件
14件
6件
鼻・副鼻腔がん
7件
4件
4件
甲状腺がん
56件
51件
35件
悪性リンパ腫
3件
7件
その他の悪性腫瘍
14件
14件
11件
鼻副鼻腔手術(ESS含む)
32件
29件
27件
扁桃・アデノイド
21件
15件
20件
嚥下・音声障害
9件
21件
甲状腺・副甲状腺良性
8件
11件
11件
バセドウ病
2件
1件
喉頭良性
7件
12件
10件
外傷
6件
11件
3件
唾液腺良性
5件
12件
15件
その他の鼻腔疾患
9件
24件
その他
74件
40件
31件
合 計
272件
260件
256件

 

医療設備

 

 MRI(1.5/3テスラ)、CT、PET/CT、核医学、リニアック、鼻腔・喉頭・気管支電子内視鏡、
 NBI鼻腔・喉頭内視鏡、喉頭ストロボスコピー、超音波(ドップラー)、聴力検査機器、ABR、
 ENG、KTPレーザー、平衡機能検査機器、高圧酸素療法室

 

  電子内視鏡
電子内視鏡による喉頭癌症例(NBIにて表在血管の異常の検出が可能となり、小さながんも見つかりやすくなった)










 PET-CT
甲状腺がん再発症例 (複数回の再発・手術を繰り返したため、発見が困難であったがPET-CT検査によって、気管と食道に浸潤した腫瘍を認めた。) PET-CT検査は、頭頚部がんの腫瘍の広がりの検索や治療効果の判定に有効






広報誌あおばな 掲載

 

 女性に多い!甲状腺腫瘍(H27.2月号) / 甲状腺の検査(H27.4月号) /
 甲状腺腫瘍の治療(H27.9月号)




施設認定

 

 日本耳鼻咽喉科学会認定専門医研修施設 
 日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医制度指定研修施設 
 日本内分泌・甲状腺外科専門医制度認定 
 日本気管食道科学会認定専門医研修施設

 

スタッフ

 医師名 森谷 季吉(もりたに すえよし)/ 平成2年卒
 役職 頭頸部外科・甲状腺外科センター長
 専門医・指導医 日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本気管食道科学会認定専門医
内分泌・甲状腺外科専門医
頭頸部がん専門医
日本がん治療認定医
 医師名 武信 真佐夫(たけのぶ まさお)/ 平成21年卒
 役職 医員
 専門医・指導医


 医師名 森崎 剛史(もりさき つよし)/ 平成23年卒
 役職 医員
 専門医・指導医




 医師名 永原 國彦 (ながはら くにひこ)/ 昭和42年卒
 役職 非常勤
 専門医・指導医 日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本気管食道科学会認定専門医
頭頸部がん専門医
頭頸部がん専門医制度暫定指導医
内分泌・甲状腺外科専門医 
日本甲状腺外科学会名誉会員
京都大学医学博士

外来担当医表